2022-04-28 農学部地域生態システム学科 小池伸介研究室「森林生態系での動物遺体の消失メカニズム」

森林に生息する様々な生物間の相互作用および機能的役割の解明や、ツキノワグマの生物学について研究している農学部 地域生態システム学科 小池伸介教授の研究室に見学に来たワン!

学生さんがチェックしているのは、温度などを検知して、動画を撮影する自動撮影カメラ。
いっぱいあるワン!

このカメラで撮影した映像も見せてもらったワン。
それが写真2枚目。
画面左側にクマがいるワン。
右側にあるのはシカの死体。
いったい、どんな研究をしているのかワン?

こちらの学生さんの研究テーマは、森林生態系での動物遺体の消失メカニズム。

動物の死体は、ほかの動物たちにとっては、捕獲などの労力をかけずに得ることができる高栄養な食物資源で、様々な動物が死体を食物として利用しているワン。
死肉を食べることを「スカベンジング」、死体を食べる生き物を「スカベンジャー」と呼び、生態系の維持や物質循環の上で重要な役割を担っているワン。

スカベンジャーとして有名な生き物といえば、アフリカのサバンナの映像によく登場するハゲワシ。
ハゲワシのようにスカベンジングに特化した動物がいない日本では、どの動物が大型動物の死体を片付けているのか、よくわかっていないワン。

そこで、こちらの学生さんは、大型動物であるシカの死体が、どうやってなくなっていくかを調べているワン。

栃木県内の森林に設置したシカの死体の様子を、自動撮影カメラを使って撮影して、死体の消失過程を記録したところ、6種の哺乳類(クマ、イノシシ、タヌキ、キツネ、ハクビシン、テン)と、3種の鳥類(クマタカ、トビ、ハシブトガラス)がシカ死体のスカベンジングを行っていることがわかったワン。
このことから、スカベンジングに特化した生き物いない地域では、様々な脊椎動物がスカベンジャーとして大型動物の死体を分解することで、物質循環などを通じて生態系が健全な状態であり続けることに貢献していることがわかったワン。

人里に出てきて、畑を荒らすイメージがあるイノシシが、スカベンジングをしていることがわかったり、逆にヨーロッパではスカベンジングを行っていることが知られているアナグマがカメラの前に一度も姿を見せなかったりと、いろんな発見があったワン。

最近、日本では、シカの急激な増加による植生の改変などの生態系への影響が大きな問題となっているワン。
シカの死体のスカベンジングに、どの動物がどのくらい関わるのかを知ることは、シカの増加によるほかの動物たちの生態への影響を知る上でも、大事なことなんだワン。

こちらの学生さんは、小池先生の研究室でクマを研究している「クマ班」に所属しているワン。
フィールドでの調査が多いので、調査地の近くに住んで、精力的に研究しているそうだワン。
緑がとってもきれいな写真3枚目、4枚目は、フィールドでの作業の様子。
研究のためのたくさんの荷物を持って、森の中を歩くには、体力も必要だワン。
みなさん、がんばってるワン!

来週も、クマ班の研究を紹介するワン。

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